研究課題/領域番号 |
07670708
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高岸 芳子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50024659)
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研究分担者 |
加納 安彦 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50252292)
長屋 敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (80262913)
舟橋 厚 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (10190125)
織田 銑一 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60023660)
井上 稔 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (20090425)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 運動失調 / カルシウム / プルキンエ細胞 / 突然変異 / 神経可塑性 / 小胞体 / 小脳 / ラット |
研究概要 |
本研究は平成7年度から平成8年度において、Wisterラット由来の交雑種より見い出された突然変異体で運動障害を示すdop (dilute opisthotonus)ラットを遺伝的に、またその脳を免疫組織化学を含めた光学顕微鏡ならびに電子顕微鏡法によって形態学的検索を行ったものである。 dopラットは常染色体劣性遺伝によりその形質を支配されかつそのホモ個体は致死であることから、ヘテロ個体を選抜して継代交配し系統を維持している。原因遺伝子を探るためマイクロサテライトDNAをマーカーに用いて染色体マッピングを行った結果dop遺伝子は第8染色体上にあることがわかった。さらにその位置を詳細に検索した結果、マウス第9染色体上のdilute-lethal遺伝子とほぼ同じ位置にあることがわかり両遺伝子の相同性が示唆された。 ホモ個体の小脳Purkinje細胞を電子顕微鏡にて詳細に観察したところ、小脳全域(虫部、半球)のPurkinje細胞樹状突起棘に正常では特徴的に存在する小胞体が欠損していた。小胞体の欠損は、小脳虫部、半球のどの部位のPurkinje細胞樹状突起棘においても観察された。Purkinje細胞の幼若な時期からの観察によって、小胞体は細胞体や樹状突起には形成されるが棘にのみ形成されないことが分かった。Purkinje細胞樹状突起棘の小胞体は細胞内Caストアであり細胞膜上にはIP3レセプターを豊富に持つが、この蛋白に対する抗体を用いた免疫組織化学でも小胞体の欠損が明らかとなった。すなわちdopラットのPurkinje細胞では、シナプス伝達時にシナプス受容部でのCaの動員が欠損あるいは不足していることが考えられる。シナプス伝達時においてCaは、小脳では運動学習の基となる長期抑圧の誘導に重要であることが報告されている。さらに小脳皮質からの唯一の出力であるPurkinje細胞の軸索と、小脳核細胞のシナプスを形成を電子顕微鏡学的ならびにPurkinje細胞の軸索からの神経伝達物質であるGABAに対する抗体を用いた免疫組織化学的方法によって調べた。ホモ個体の小脳核細胞の細胞体に形成されているシナプス数は正常個体と有為差はなく、また抗GABA抗体による免疫染色にも差が認められなかった。小脳以外では、大脳皮質体性感覚野においてDiIを用いて神経繊維連絡を検索したところ、正常とは異なる走行を示す線維が観察された。
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