研究概要 |
強力な内在性dopamine (DA)の遊離促進剤であるmethamphetamine (MA)の投与によってDA neuronが障害される.遊離されたDAの自動酸化によってできるhydroxyl radical (・OH)がその原因の一つと考えられているが,ヒトParkinson病においても本来生理的な存在であるDAから形成される・OHが病因的に重要と見られている.本研究では,線条体内のDA遊離によって始まる生体内での・OH形成過程の解明と,DA neuron保護に有用な薬剤を見いだすことを目的に,MA投与によるC57black mouseのparkinsonismモデル脳を用いて実験を行った.MA投与1時間後に線条体内で発生した・OH量はsalicylic acid (SA)を用いて捕捉定量・(OHとSAの反応生成物をHPLCで測定)し,DA neuronの変性の程度はMA投与後72時間目の線条体のDA含有量ないしチシロン水酸化酵素活性を指標として,投与薬剤による・OH産生抑制(または捕捉量)とDAneuron保護の検討を行った.その結果,deprenylないしclorgyline (MAO, monoamine oxidaseBないしA阻害剤)によるDAの酸化阻害,deferoxamine (鉄キレート剤), amfoneric acid (DA teansporter阻害剤)により・OHの産生が抑制され, MAOによるDA酸化,DAの再取り込み機構,鉄イオンによる触媒が,DA遊離に続く生体内・OH産生に関与することが明らかとなった.また,上記薬剤および・OH消去剤(dimethylsulfoxideおよびbromocriptine)のDA neuronに対する保護作用が明らかとなった.類似の作用機序がある薬剤のParkinnsonn病治療への応用が考えられる.
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