研究概要 |
初年度においてはPCR-SSCP法の確立に向けて実験を行った。また初期の動物実験としてミトコンドリアDNAに変異を来しうる物質をしてAZTなどの抗ウイルス剤を用いて実験を行ったが、有意の結果を得るには至らなかった。そこで本年度においてはRCR-SSCP法を簡便に行うためにPHAST gel systemを用い、実験の迅速化を図ると共に、EtBr,MTXを用いて実験を行った。 目的:ミトコンドリア遺伝子異常症の病態解明の一手段としてモデル動物の開発を目的として,ミトコンドリアDNA変異を来す物質を投与してミトコンドリア遺伝子異常として挙げられている各種の物質のうち,今回はethidium bromide及びamethopterinを投与し,in vivoでのミトコンドリアDNAの変化をSSCP法で検討した。 方法:投与薬剤はethidium bromide(Et Br)及びamethopterin(MTX)を今回の実験では用いた。生後8週のB10マウス雌各々5匹にEtBr,MTXを腹腔内に投与し,隔日投与にて4週間行ない,骨格筋を採取してその組織化学的検討及びミトコンドリアDNAの検索を行った。ミトコンドリアDNAの検索にはtRNA site,D-loop reagionをPCR法で増幅し,SSCP法で検討した。PCRの条件はPHAST gel systemにより電気泳動しsilver stainingにてsingle bandであることを確認後SSCP法にて検討した。 結果:EtBr,MTXともに組織化学的には正常と変化は認められなかった。Dot blottingによる定量では平均においてミトコンドリアDNA量が減少傾向にあったが明らかなものではなかった。SSCP法ではバンドの数が増加しており,ミトコンドリアDNAの変異の存在が示唆された。 考察:EtBr,MTXともに4週間の短期投与においてもミトコンドリアDNAにin vivoにおいても変化を来す可能性が示唆されたので,今後は妊娠ラットを用いて投与実験を行い次世代でのミトコンドリアDNAの変化を検討する必要がある。
|