研究概要 |
【1】変異mtDNA導入細胞株は高濃度酸素負荷によって強い細胞死をきたす mtDNAのtRNA遺伝子に変異を持つMELASおよびMERRF患者のmtDNAを導入した細胞系(2SD, 59AおよびKT1, KT7)を95%高濃度酸素下で3-4日培養した結果,MELASおよびMERRF患者由来の細胞株で,細胞死が高頻度に発現した. 【2】変異mtDNA導入細胞株はヒドロキシラジカルの産生が増大している 変異mtDNAを導入した細胞株(2SD/MELAS, KT1/MERRF)においては正常mtDNAを有するp^+143Bに比べ・OHの産生が著明に上昇していた. 【3】変異mtDNA導入細胞株ではmtDNAの強い酸化的損傷が認められる 2SD/MELAS, KT1/MERRFにおいて検出された欠失mtDNAの種類は,p^+143B (48種)に比べそれぞれ163種と141種と著明に増加し,変異mtDNAを有する細胞株のmtDNAには強い酸化的損傷が加わっていることが示された. 【4】シグナルペプチドによって外来性遺伝子をミトコンドリア内で選択的発現蛍光物質(GFP)遺伝子をミトコンドリア内へ移行に必要なシグナルペプチドsOTC cDNAと結合させたプラスミド(sOTC-GFP/pCR3-Uni)は,共焦点レーザー顕微鏡下で,GFP蛋白がミトコンドリアの分布に一致して顆粒状に発現することが観察されsOTCが細胞質内で発現した遺伝子を選択的にミトコンドリア内へ移行させることが確かめられた.
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