研究概要 |
家族性高コレステロール血症(FH)では患者間の血清総コレステロール(TC)値にバラつきがあることより、LDLレセプター以外の要因もTC値に影響を与えている可能性がある。apolipoprotein E(apoE)は血清糖蛋白の一つで、apoE-specific remant受容体とLDL受容体によるapoE bearing lipoproteinsの取り込みを介して脂質代謝を調節し、wild typeであるE3/3とその遺伝子変異により、E2/2,E3/2,E3/3,E4/3,E4/2,E4/4の6つのphenotypeが知られている。このような背景を基にして高TC血症小児のapoE phenotypeを分析した。 269人の小児患者(高脂血症、甲状腺機能低下症、悪性腫瘍、学校検尿対象者、腎疾患など)のapoEはE3/3(192人,71.6%)が最も頻度が高く、次いでE4/3(45人,16.8%)、E3/2(24人,9.0%)の順序であった。またE5/3が5人(1.9%)にみられた。その他極めてまれな変異型としてE7/4を1例発見した。また健康小児143人を分析しE3/2(7.0%),E4/2(1.4%),E3/3(69.9%),E4/3(20.3%),E2allel(4.3%),E3(84.3%),E4(10.8%)という結果を得た。FH患者では特に有意なphenotypeはなかったが、E4alleleを保有しない患者は治療に反応しやすい傾向が認められた。また今回の研究によりE4alleleを有すると肥満児ではapoBが高値で冠動脈硬化リスクが高いこと、および高脂血症を呈するネフローゼ症候群では治療抵抗性と関連が強いことも明らかになった。
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