研究概要 |
ビスダイアミンによるファロ-四徴症として,通常のファロ-四徴症,肺動脈閉鎖を合併するファロ-四徴症,肺動脈弁欠損を合併するファロ-四徴症の3種類が生じた。この研究では,これら3種類のファロ-四徴症の肺動脈を,ビスダイアミン投与後の心臓の正常の場合と比較した。 (1)ビスダイアミンにより生じたファロ-四徴症ラット胎仔の肺動脈の研究(N=17)。 これらのラットでは動脈管が存在する。この場合の主肺動脈の直径は対照の90%であり左右肺動脈の太さは対照と差がなかった。 (2)肺動脈弁欠損を合併するファロ-四徴症ラット胎仔の肺動脈の研究(N=17)。 ビスダイアミン投与により生じた肺動脈弁欠損のファロ-四徴症では動脈管が欠如し,主肺動脈の内径は対照の80%,左右肺動脈の内径は対照の135%,162%に増大していた。左右肺動脈の拡張と肺動脈弁輪部分の大きさと相関があり,肺動脈弁輪が大きいほど左右肺動脈の拡張が著しかった。 (3)肺動脈閉鎖を合併するファロ-四徴症ラット胎仔の肺動脈の研究(N=15)。 ビスダイアミン投与により生じた肺動脈閉鎖のファロ-四徴症の胎生期の肺動脈を計測すると,主肺動脈の内径は対照の60%であり,極めて低形成であった。左右肺動脈の内径は対照と差が無かった。 以上の研究により胎生期の各種ファロ-四徴症の肺動脈の大きさが明らかになった。
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