研究概要 |
血中抗acetylcholine receptor(AChR)抗体発見は,重症筋無力症(myasthenia gravis,MG)を筋神経接合部AChR障害による自己免疫患であるとした.成人発症全身型(general type,G)の一部、小児期発症MG(3歳未満に発症頻度のピーク),特に潜在性全身型(latent general type,LG)(3歳未満発症例の70%以上)において血中抗AChR抗体値は低値か陰性である.これらの小児期発症MGに多数例を認める血清抗AChR抗体値陰性患者の発症機構の解析を行った.LG型は臨床所見、筋電図検査所見,免疫学的検査などから,免疫学的に筋神経接合部AChR障害により発症する.われわれはLG型症例において,AChR抗体陰性にもかかわらず,リンパ球AChR感作T細胞の増加および,末梢血確立TH1様細胞クローン数と臨床症状憎悪が相関することを明らかにした.これらのことはLG型の発症にAChR感作T細胞細胞性免疫機構の関与が考えられる.抗原特異的ヘルパーT(TH)細胞活性化は、TH細胞レパトリ-の形成に需要である.LG型MG羅患と関連するHLA-DタイプとしてHLA-DRB1^*0901/1302、-DPB1^*0201有意な相関が認められ、成人期発症MGとHLA-Dタイプ発現率に相違が認められた.LG型MG患者AChR特異的リンパ球は、HLA-DRB1^*0901あるいは-DPB1^*0201と結合したAChR抗原ペプチドを認識活性化されると考えられたが、特にHLA-DRB1^*0901タイプは高い有意な相関率、および抗HLA-DR,-DQあるいはDP抗体による増殖抑制の検討から抗原ペプチド結合部位として重要であると考えられた(論文投稿中)。AChR抗原ペプチドで活性化されたAChR特異的TH細胞のレパトリ-相違が、小児期MGの発症機構の解明には必要と考えられるため、AChR抗原刺激TH細胞レパトリ-の解析のためAChR感作T細胞ラインからTCRVαβクローンレパトリ-の特異性を明らかにし、血清抗AChR抗体値陰性小児期発症潜在性全身型MGをユニークな疾患単位として確立し、小児期発症MGの病因解明すると出来ると考えられ現在検討中である。
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