研究分担者 |
井上 玲 東邦大学, 分子生物学研究室, 講師 (10151599)
山口 之利 東邦大学, 第二小児科学教室, 助手 (30277339)
風間 浩美 東邦大学, 第二小児科学教室, 助手 (90224386)
藤岡 芳実 (藤岡 芳美) 東邦大学, 第二小児科学教室, 助手 (30256739)
清水 教一 東邦大学, 第二小児科学教室, 講師 (60256740)
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研究概要 |
遺伝性銅代謝異常症におけるGenotypeとPhenotypeの関連および病態生理を解明する目的にて,Wilson病における遺伝子解析,およびATP-7A・7Bより発現される蛋白の組織間・細胞内発現状況の検討を行った. 1.遺伝子解析 Wilson病がどのような機序により多彩な表現型を呈するかを解明する目的にて,本症患者の原因遺伝子解析を行い,臨床病型との関連を検討した.劇症型を含む肝型Wilson病症例の遺伝子変異は,全例1塩基欠失であった.その結果フレームシフトが生じ,truncated proteinが合成され,ほとんどその活性はないと考えられた.これに対し,神経型・肝神経型症例は点突然変異によるアミノ酸置換およびexon skippingであり産生される蛋白は,ある程度その機能を有すると推測された.Wilson病蛋白の機能障害の程度により,発症病型が異なる可能性が示唆された. 2.ATP-7AとATP-7B Wilson病遺伝子が発現するATP-7BおよびMenkes病遺伝子が発現するATP-7Aの細胞内発現の局在性について検討した.いずれもGolgi小体中心であることが判明し,trans-Golgi network,post-Golgi vesicular compartmentへの局在が証明された.両蛋白の銅運搬体としての役割には差異がないことが推定された.Wilson病とMenkes病の病態の差は,両遺伝子における臓器別発現状況の差によると考えられた.
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