研究概要 |
ヒト臍帯血より単核細胞を分離した後,stem cell factor と interleukin-6 共存下に液体培養し,純度100%のトリプテ-ス陽性肥満細胞を得た。得られたヒト培養肥満細胞を抗IgE抗体により刺激すると,抗IgE抗体の濃度,および反応時間に依存して明らかなヒスタミン遊離が認められた。カルシウムイオノフォアA23187により刺激すると,イオノフォアの濃度,および反応時間に依存して明らかなヒスタミン遊離が認められた。一方,コンパウンド48/80,あるいはサブスタンスP 刺激では,明らかなヒスタミン遊離は認められなかった。そこで,ヒト皮膚肥満細胞と同様にサブスタンスP により活性化されることが明らかにされているラット腹腔肥満細胞を用い,サブスタンスP 刺激による肥満細胞からのヒスタミン遊離に及ぼす紫外線療法の効果について検討した。その結果,中波長紫外線(UVB)は照射量に依存して,また,8-メトキシソラレンと長波長紫外線(UVA)の併用(PUVA)は,UVAの量に依存して,細胞内カルシウムイオン濃度上昇を抑制することにより,ヒスタミン遊離を抑制した。 肥満細胞症の1つである色素性蕁麻疹の皮疹部で増加する肥満細胞は,健常人皮膚に存在するトリプテ-スとカイメ-スのいずれにも陽性の肥満細胞であった。無症候性全身性肥満細胞症の健常皮膚に認められる肥満細胞もトリプテ-スとカイメ-スに陽性の肥満細胞であったが,皮疹部では肥満細胞の増加を認め,増加する肥満細胞はトリプテ-ス陽性,カイメ-ス陰性の肥満細胞であった。一方,進行性全身性肥満細胞症では,皮膚をはじめとして,リンパ節,骨髄,気道,鼻粘膜,胃粘膜に増加する肥満細胞は,トリプテ-ス陽性,カイメ-ス陰性の肥満細胞であった。また,血中および尿中メディエーターを測定したところ,血中ヒスタミン,トリプテ-ス,ロイコトリエンC_4量および尿中メチルヒスタミン,ロイコトリエンE_4量が増加していた。
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