研究課題/領域番号 |
07670990
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
井上 稔 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (20090425)
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研究分担者 |
織田 銑一 名古屋大学, 農学部, 助教授 (60023660)
高岸 芳子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50024659)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 放射線適応応答 / マウス精子形成 / 第一減数分裂 / シナプトネマ複合体 / 染色体切断感受性 / 染色体脆弱部位 / 逆位 |
研究概要 |
細胞が低線量の電離放射線に被曝すると、その後しばらくの間、高線量放射線に対する抵抗性を上げる「放射線適応応答」の例を、マウス精母細胞の第一減数分裂前期シナプトネマ複合体の観察により発見した。今回は、性染色体以外にも染色体を特定するため、第1染色体に大きな逆位のあるマウスIn(1)1Rkと、第1染色体と第17染色体に相互転座のあるT(1:17)190Caマウスの、それぞれのヘテロ雄を用いた。 双方のマウスを4群に分け、C(対照)群、L(50mGy照射)群、H(4Gy照射)群、L+H(50mGy照射4時間後に4Gy照射)群としてX線照射した。照射4日後と5日後に精巣を摘出し、プラスチックフィルム・コートしたスライドグラスに細胞を分散して低張処理した。これを銀染色して光学顕微鏡で観察、第一減数分裂厚糸期前期にある細胞を選び出して、その周辺をプラスチックフィルムごと切り出した。これを水に浮かべてグリッドに取り、電子顕微鏡で観察した。 C群、L群ともシナプトネマ複合体の異常頻度は低かった。H群では、すべての染色体に異常がみられた。特定した第1、第17染色体では、これら逆位や相互転座の原因となった染色体切断点に特に多く切断がみられた。これら部位は染色体切断の高感受性部位であることが示された。照射5日後に検査したものでは、4日後のものより染色体異常頻度が高かった。L+H群では、全染色体異常、個別には、切断、性染色体-常染色体対合、転座、ブリッジが、H群より有意に少なく、放射線適応応答がみられた。 本研究では、精母細胞の放射線適応応答を確認し、逆位や転座の原因になった染色体切断部位は、放射線による切断感受性が高いことを発見した。
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