方法:腫瘍細胞株SCC-3とこれに対する単クローン抗体YK-1抗体モデルを使用。抗体は、ハイブリドーマを接種したヌードマウス腹水より、プロテインGカラムにて精製。F(ab´)2は、抗体のペプシン処理にて作成。rhIL-2をSPDP処理後、F(ab´)を2-メカルプトエタノール処理にて作成したFab´と反応させrhIL-2-Fab´を作成した。IL-2活性の測定には、マウスの脾細胞をPHA刺激し、洗浄後、各段階の処理IL-2反応物を添加培養し、2日後のH-3-チミジン取り込みで測定した。抗体のRI標識は、サイクリックDTPA無水物法にて作成したDTPA抗体結合物にIn-111を標識した。側腹部に腫瘍を移植したヌードマウスに、rhIL-2-Fab´またはFab´とrhIL-2を腹腔内投与、1時間後に標識抗体を腹腔内投与し、2日目、4日目に屠殺、各臓器の放射活性を測定し、体内分布を計算した。結果:培養細胞での検討で、IL-2のSPDP処理により、IL-2活性は、元の約70%に低下した。rhIL-2-Fab´のIL-2活性はIntact IL-2 1μgに相当するのは、50-80μgであった。ファルマシア社Recombinant Phage Antibody SystemによるFv作成は、有効なFvが得られなかった。ヌードマウスに、(1)rhIL-2-Fab´ 50μg投与群、(2)rh-IL-2 1μg及びFab´ 50μg投与群、(3)PBS投与群での体内分布は、(3)に比べて(2)群では腫瘍の集積率は1.1〜1.3倍に増加したが、正常臓器(肝、肺、筋肉)への集積も上昇傾向がみられた。(1)群では、腫瘍への集積率が1.0〜1.4倍に増加し、正常組織への集積は有意差はみられなかった。考察:フラグメント化した抗体IL-2結合物による、血管透過性亢進の試みは、腫瘍における腫瘍集積を特異的に増加させ、放射免疫療法の補助手段として有用であると思われる。
|