研究概要 |
1,2,4mmと種々のサイズのシリコンゴムチューブに分岐や狭窄,シャント等を作成しCobe stockert社製拍動流人工循環ポンプで疑似血液を流し,水槽中で超音波ドプラ装置によって測定を行うファントムモデルを製作し,種々の異常血流動態におけるドプラ信号波形の変化についての実験を行った。とくに肝臓をモデルとし拍動流と定常流が併走するファントムモデルにより肝腫瘍において認められる動脈門脈シャント等についての実験的検討を行った。その結果,高速血流信号は狭窄あるいはシャントいずれにおいても認められるが,シャントではPulsatility Indexが低下するのに対して,狭窄では変化が見られないこと,末梢抵抗・圧の変化により狭窄あるいはシャント部の最高流速やPulsatility Indexは変化するといった所見が得られ,日常臨床において肝腫瘍症例等で検出される血流信号の解析に対する裏付けが得られた。 血流量測定に関しては,3,5mmのシリコンチューブを用いて同様のファントムによりドプラ装置による計測とフリーフローの実測値とを比較検討した。また,計測部に狭窄等を作成することによって異なった流速波形,周波数スペクトルでの検討を行った。FFT波形のピーク値の手動計測の外に,"% window","mode","mean"等の計測法による計測値や,平均流速測定に対するsample幅の及ぼす影響についても検討を行った。ドプラ法による計測値はいずれの場合も実測値に比べ大きかった。また,チュープ径に比べてsample幅を狭くすればする程,計測流量は過大評価される傾向にあった。結果として,チューブ径を十分カバーできる広さのsample幅で"mean"を用いた計測が最も実測値に近く,層流においても乱流においても再現性は良好であった。
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