研究概要 |
ヨード性造影剤の甲状腺に及ぼす影響について研究を行った.正常な甲状腺機能を有し,甲状腺組織内に腫瘤影を認めない患者を対象として,頚部を含む造影CT検査を施行した.造影後早期(1週間以内)と造影後後期(2週間〜3週間後)に施行した^<99m>Tc甲状腺イメージングでは,画像上有意な異常集積としてとらえることはできないものの,同時に行った^<99m>Tc甲状腺摂取率では造影後早期にてわずかながら差が見られた.現在造影CTでは非イオン性造影剤(ヨード濃度300mgI/ml)約100mlを急速静注しているが,その際いずれの症例にても甲状腺自体の造影能には視覚的な差は見られず,CT値もほぼ一様に上昇がみられた.造影後行った^<99m>Tc甲状腺シンチでは早期像,後期像ともに画像所見上は有意な差は見られなかったが,甲状腺摂取率は早期像では後期像に比べわずかながら低下する傾向が見られた.これまで,ヨード性造影剤は^<99m>Tcに対する影響はないということが通説であったが,今回の研究から造影CT施行後極めて早期では軽度の差が生じることが明らかになった.造影後の甲状腺ホルモン値には変動がないことから,^<99m>Tc甲状腺シンチによる甲状腺機能測定に対し,造影剤が何らかの影響を与えていることは確実であり,今後の追試が必要と考えられた.
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