研究課題/領域番号 |
07671070
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山田 了士 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (10240029)
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研究分担者 |
児玉 昌純 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
佐藤 俊樹 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手
大月 健郎 岡山大学, 医学部・付属病院, 助手 (10284118)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1996年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 周嗅領皮質 / キンドリング / てんかん / 発作全般化機序 / 脳波 / 免疫組織化学 / FOS蛋白 / プロカイン / 島皮質 / c-fos |
研究概要 |
本研究では、ネコおよびラットのキンドリングモデル動物を用いて、側頭葉てんかんの難治化に関る部分発作二次性全般化経路における周嗅領皮質(perirhinal cortex)の役割について検討した。ネコ扁桃核キンドリング発展の脳波検討では刺激第1回から同側周嗅領皮質に優勢な後発射が出現し、また発作が全般化を始める時期には反対側半球で周嗅領皮質の後発射が最も早くかつ優勢に出現した。ラット扁桃核キンドリングにおいて、神経活動のマーカーとしてのFOS蛋白免疫組織化学実験では刺激第1回からFOS蛋白が周嗅領皮質に出現し、発作が全般化に移行する時期では周嗅領皮質が反対側半球の中でFOS蛋白出現の最も早い部位であった。次に、周嗅領皮質を一次刺激部位としたキンドリングでは早期からFOS蛋白陽性部位が扁桃核、梨状葉皮質などの辺縁系と側頭皮質などの新皮質系に広範に現れた。また前肢クローヌスへの潜時が極めて短かかった。一方いったん完成した扁桃核キンドリング発作に対して、神経麻酔薬のprocaineを周嗅領皮質へ微量注入したが、有意な抑制効果は見られなかった。 これらより、(1)周嗅領皮質は発作の伝播において辺縁系と新皮質系の間の中継部位としての機能をもつ、(2)扁桃核キンドリング発展において周嗅領皮質は特に反対側半球において主導的な興奮的役割をもつ、(3)周嗅領皮質は前肢クローヌスをおこす神経回路に機能的に近い、(4)いったん完成した扁桃核キンドリング発作発現機序では周嗅領皮質の重要性は低くなる、という結果が導かれた。 以上より部分発作にとどまるてんかんが次第に全般化する過程において周嗅領皮質はその辺縁系と新皮質系の中継部位的な役割から重要な脳部位であり、側頭葉てんかんの難治化に関与している可能性が高いと思われる。将来、側頭葉てんかんの難治化予防において周嗅領皮質の活動を制御するような治療法の開発などに応用しうることも予想される。
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