研究概要 |
本年度の研究実施計画である以下の4項目について研究実績の概要を述べる. 1.レムナントリポ蛋白の酸化変性の検討:健常者,糖尿病,心筋梗塞例の血清からVLDL分画およびレムナントリポ蛋白を採取,TBA法にて両分画の過酸化脂質を測定し,比較した.いずれの症例でも,VLDL分画よりレムナントリポ蛋白で,過酸化脂質の有意高値を認めた.また,両分画をCuにて酸化させたところ,VLDL分画に比較して,レムナントリポ蛋白の過酸化脂質増加は有意に少なかった.これは,レムナントリポ蛋白の過酸化脂質量はすでに飽和状態であったためと考えられた. 2.レムナントリポ蛋白の糖化変性の検討:HPLC糖化リポ蛋白自動分析システムにより,各疾患のVLDL分画およびレムナントリポ蛋白の糖化度を測定比較しようとしたが,HPLCにより糖化度を測定するには濃縮などの処置が必要であることがわかり,現在,引き続き検討中である。 3.HDLの糖化変性の検討:HDLはLDLよりも糖化されにくいことが明らかになった.各種疾患の糖化HDLは,糖化LDLと異なり,血中の糖レベルを比較的よく反映することが示された. 4.糖化レムナントリポ蛋白のマクロファージ取り込みの検討:糖化LDLのマクロファージ取り込みは,非糖化LDLよりも有意亢進を認めた.また,糖尿病例LDLは健常者LDLよりもマクロファージ取り込みの有意亢進を認めた.レムナントリポ蛋白はVLDL分画に比較して,マクロファージ取り込みの亢進を認めた.糖化レムナントリポ蛋白については引き続き検討中である.
|