研究課題/領域番号 |
07671139
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
乾 明夫 神戸大学, 医学部, 助手 (80168418)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | ダイノルフィン / トランスジェニックマウス / 脂肪摂取 / 脳内過剰発現 |
研究概要 |
Dynorphin(ダイノルフィン)は、脳及び腸管に存在する代表的なオピオイドペプチドのしつであり、脳内では摂食行動や学習、記憶、情動行動に関与し、また末梢では胃腸運動や胃酸分泌・膵内外分泌等、消化管機能に深く関与している。 そこで今回我々は、ダイノルフィンを過剰に発現させたトランスジェニックマウスを作製し、その摂取行動や学習、情動行動を一生涯という時間軸で解析し、脳腸ペプチドとしてのダイノルフィンの病態生理学的意義を明らかにし、将来のopioid drugの臨床応用に資することを考えた。 我々の研究及び現在までの進展状況は、以下の様である。 1)ダイノルフィンを過剰発現させるためのプリモーターとしては、まず、Thy1-AB1を用い、ダイノルフィンを中枢神経系のみに限定して発現させることを考えた。多くの脳腸ペプチドは中枢及び末梢で正反対の作用を示し、ダイノルフィンの摂食促進作用も中枢でのみ発現されると考えられる。マウスダイノルフィンはPCRでクローニングし、Thy1-ダイノルフィントランスジーンを作製した。 2)ダイノルフィントランスジェニックマウスの作製 今回の阪神大震災により、このプロセスが決定的に遅れることになった。神戸大学医学部動物舎に保管していたトランスジェニックマウス作製用のマニュプレーターが破損し、新型機が入手できたのは予算の関係で秋以降となった。更に動物舎はセンダイウィルス等で汚染され、その消毒や、汚染されたNPYトランスジェニックマウスのSPF化等余分な操作に手をとられることとなった。したがって、現時点では、ようやく、トランスジェニックマウスの作製にかかれるようになったところであり、研究は大幅に遅れている。 ニューロサイエンスの領域へのトランスジェニックマウスの応用はまだ比較的日が浅いが、我々はすでにNPYトランスジェニックマウスを誕生させ、現在解析をすすめている。急性投与実験ではうかがいしれないような、不安と関連した、興味あるモデル動物が誕生している(投稿中)。脳腸ペプチドの研究で最も欠落している点はその病態生理学的意義の解明であり、トランスジェニックマウスの技術は、極めて有力な方法であると思われる。今後、部位選択性(例えば本研究のような脳内視床下部)や発現時期特異性を考慮にいれたモデル動物が作製され、ますますその有用性が増加してゆくものと思われ、ダイノルフィントランスジェニックマウスもモデル動物として大変興味がもたれ、是非すすめてゆきたいと考えている。
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