研究概要 |
マウス膵島のλgtll cDNAライブラリーを10週令の雌NODマウスのプール血清で免疫スクリーニングすることにより,NODマウス血清と反応し正常マウス血清とは反応しない2個のクローン(C17,C18)を得た。10週令の雌NODマウスにおけるそれぞれに対する抗体の頻度はC17が80%,C18が10%であった。C18の塩基配列はマウス・クロモグラニンAの596-1892に一致した。クロモグラニンAは膵島における存在が知られており,膵島炎に関与する自己抗原の1つである可能性がある。一方,C17の塩基配列には,poly(A)部分と46個のアミノ酸配列に相当するopen reading frameが確認されたが,その本体は明らかではない。C17のmRNAの発現はNorthern blotting法でマウス膵島だけでなくマウス脳組織においても認められた。また,ヒト膵においてC17と高い相同性を有するmRNAが存在することを見出し,その部分配列をクローン化した。 次に,マウス・クロモグラニンAをin vitro translation/transcriptionで合成し,抗クロモグラニンA抗体のRIA系を作成した。しかし,10週齢雌NODマウスにおける抗クロモグラニンA抗体の頻度はRIAにおいても約10%と低率であった。C17抗原に対するRIAは未だ十分な検出感度が得られていない。また,ヒト膵島cDNA libraryから得られたICA512についても同様のRIA系を作成し,ヒトIDDMにおける意義を検討した。ICA512抗体はGAD抗体とは異なり,急性発症のIDDMにおいて陽性率が高く,slowly progressive IDDMでは低率であった。抗体価は発症後5年以内に急速に低下した。
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