研究概要 |
1991年と1992年に、我々は単球と好中球の表面でCD48分子検出の研究を行い、感染症の急性期にはその発現の著しい増加を見た。生体の炎症に対する反応として興味深い現象と考えられたので、炎症反応のマーカーとして有用であることを報告した。しかし、CD48は細胞表面分子であるところから、これに刺激を伝えるまたはこれと結合する分子、つまりCD48のリガンドはさらに注目された。1993年にCD2がCD48のリガンドであることが示された。が、その結合親和性は低かったのでより効率のいいリガンドの存在が想定された。そこで我々は1994年予備実験として、モノクロナール抗体6.28を用いてCD48分子を精製し、種々の細胞との結合活性の存在を観察した。 今年度はCD48のリガンドを追求する事が目的であったが、まずはじめに結合活性の確認を計画した。確度を増すには分離CD48分子の精製度を高めることが必要であるので、CD48のcDNAをCDM8に組み入れたプラスミド(pCD2A1)をTufts大学のThorley-Lawson教授より分与をうけた。COS-7細胞に感染させた大量の培養上清からCD48分子を精製し、プラスチックウェルに固相化した。各細胞の結合率を検討したところ、上述の結果と相違した。つまり、ER-LCL,JY,Jurkat,SKW-3,HL-60,K562,HeLa,培養血管内皮細胞等のいずれもが有意の結合を示さなかった。 現在、細胞を変えて検討中であるが、今年度は当初に計画したER-LCLまたはHeLa細胞からのCD48のリガンド分離実験を達成できなかった。
|