研究課題/領域番号 |
07671182
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小山 高敏 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (20234916)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | レチノイン酸(RA) / 9-cisレチノイン酸 / 組織因子 / トロンボモジュリン / 白血病細胞 |
研究概要 |
前年度、ビタミンA誘導体のオールトランスレチノイン酸(ATRA)が、急性前骨髄球性白血病(AML M3;APL)及び単球性白血病細胞株において、遺伝子転写レベルで凝固因子である組織因子(TF)のダウンレギュレーション、抗凝固糖蛋白であるトロンボモジュリン(TM)のアップレギュレーションを引き起こして、細胞の凝固活性を減少させることを見出し、Blood誌に発表した。今年度は、患者血液から分離した新鮮な白血病細胞を用いて検討し、同様な機序を確認した。すなわち、ATRAによりAML全例でTM発現増強が認められ、APL、単球性白血病細胞を中心に一部のAML細胞で、TFの発現低下を認めた。一方、9-cisRAはATRAと異なり、レチノイン酸レセプターのみならず、レチノイドXレセプターとも親和性を有する。9-cisRAは生体内で代謝を受けにくく、APL細胞の分化誘導効果もATRAよりやや優れているとされるが、TF発現減少、TM発現増加による抗凝固効果もATRAより低濃度で発揮することを見出し、前記の結果と併せ、Blood誌に発表した。ATRAは内皮細胞、単球のTF、TM発現に対する効果のほか、APL細胞株におけるcancerprocoagulantやウロキナーゼ、接着分子受容体発現にも影響を与えることが報告されている。 これらの結果は、レチノイン酸による遺伝子転写レベルでのDIC治療の可能性を示唆するとともに、悪性細胞、内皮細胞の性質を変えるという戦略が抗凝固療法においても可能なことを示している。本研究の成果は、広く血栓症の発症機序解明・治療への応用につながる可能性があり、更により詳細なレチノイン酸の作用機序の解明を続けている。
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