研究課題/領域番号 |
07671245
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中川 洋一 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (80211415)
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研究分担者 |
成田 一衛 新潟大学, 医学部, 助手 (20272817)
上野 光博 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (90260546)
西 慎一 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (70251808)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1995年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | アルポート症候群 / 良性家族性血尿 / 菲薄基底膜病 / IV型コラーゲン / 癌原遺伝子 / 転写因子 / Thy1.1腎炎 / 全トランス型レチノイン酸 / 非薄基底膜病 / 病原遺伝子 / Thy-1腎炎 / 5 / 6腎摘 / c-myc / NF-kB / AP-1 |
研究概要 |
1.遺伝性腎疾患の遺伝子解析 私たちは、糸球体基底膜障害が特徴であるアルポート症候群のゲノムDNAの解析を行ない、糸球体基底膜構成成分であるIV型コラーゲンα5鎖遺伝子の欠失例を2例、α5鎖およびα6鎖の完全欠失例を1例見い出した。また、良性家族性血尿は菲薄基底膜病とも呼ばれているが、病因遺伝子の候補としてIV型コラーゲンα3鎖またはα4鎖コラーゲン遺伝子が考えられる。そこで四家系において連鎖解析を行ったが、これらの遺伝子と血尿との間に有意な連鎖は得られず、菲薄基底膜病の病因遺伝子は糸球体基底膜コラーゲン遺伝子以外であると結論された。 2.ラット実験腎炎における転写調節因子の役割 私たちは、転写調節因子の中で、特に癌原遺伝子とよばれる、c-fos、c-jun、c-myc、さらにはc-Fos、c-JunのヘテロダイマーであるAP-1に注目し、これらの動態をラット抗Thy-1.1腎炎、STZ糖尿病ラットを用いて検討した。 その結果、ラット抗Thy-1.1腎炎では、c-myc mRNAが腎炎惹起4〜5日後のメサンギウム細胞増殖期に一致して発現が増強、STZ糖尿病ラットでは、糖尿病惹起直後よりも、6カ月後などの慢性期で糸球体硬化がみられる時期に一致して、AP-1の発現が増強していた。これらの結果から、これらの遺伝子とその産物がメサンギウム増殖性糸球体腎炎の進展、特に慢性化に重要な役割を担っていることが明らかとなった。 3.培養メサンギウム細胞と実験腎炎におけるレチノイン酸の作用 全トランス型レチノイン酸(ATRA)は、細胞分化誘導因子として知られている。私たちは培養メサンギウム細胞を用いて、ATRAの効果を検討したところ、増殖抑制硬化とc-fos、c-jun、c-mycなどのmRNA発現抑制効果がみられた。そこでさらに、抗Thy-1.1腎炎を惹起したラットにATRAを連日経口投与したところ、メサンギウム細胞数と基質スコアの減少がみられた。このことから、これらの転写調節因子の制御は、将来のメサンギウム増殖性糸球体腎炎の治療として、有効な方法となりうると思われた。
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