研究分担者 |
十亀 徳 徳島大学, 医学部・附属病院, 医員
北市 雅代 徳島大学, 医学部・附属病院, 医員
井上 洋行 徳島大学, 医学部, 助手 (80253186)
梅本 淳 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (60185072)
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研究概要 |
SD雌ラットの7,12-DMBA誘発乳癌におけるホルモン依存性の研究から、この系ではエストロゲンが発癌プロモーター作用をもつことが明らかにされた。最近、エストロゲンそのものがin vitroにおいて動物細胞のDNAに結合し得ることが明らかにされてきた。 今回の研究は、SD雌ラットの7,12-DMBA誘発乳癌系におけるエストロゲンの発癌イニシエーション作用の解明に資するため、7,12-DMBAに曝露させたSD雌ラットから乳腺組織のほか主要臓器のDNAを抽出し、エストロゲン-DNA付加体および7,12-DMBA-DNA付加体の検出について検討した。 1)9週齢のSD雌ラットに7,12-DMBA20mg/bodyを与え、その24時間および48時間後に屠殺し、乳腺組織(5対10腺)のほか肺・肝・腸管粘膜を採取した。 2)採取組織よりDNAを抽出し、インテンシフィケーション法による^<32>P-ポストラベル法にて7,12-DMBA-DNA付加体の検出を行った。 3)9週齢のSD雌ラットを用い、卵巣摘除を行った群と、シャム手術を行った群を作製し、術後3週間後に屠殺、乳腺組織(5対10腺)のほか肺・肝・腸管粘膜を採取した。 4)採取組織よりDNAを抽出し、インテンシフィケーション法による^<32>P-ポストラベル法によりエストロゲン-DNA付加体の検出を行った。 以上の作業から、(1)7,12-DMBAを曝露したSD雌ラットの乳腺を含む各臓器に高レベルの7,12-DMBA-DNA付加体が検出され、腸管粘膜、乳腺組織はとくに高レベルであった。(2)卵摘されたSD雌ラットでは乳腺組織の退縮がみられたため、乳腺組織のDNA収量は低量にとどまった。エストロゲン-DNA付加体の検出は現在、症例数を増して検出を試みている。また、卵摘ラットに外因性エストロゲンを持続投与して、上記3),4)の作業を進めている。
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