研究概要 |
【目的】 会陰部人口肛門造設の基礎研究として、人口肛門造設による結腸運動変化について調べた. 【方法】 雑犬の結腸に等間隔に4個,消化管運動相を知るため回腸末端に1個のフォーストランスデューサーを縫着,食餌投与後24時間腸管運動を記録した.次いで結腸中間に離断型二連銃式人口肛門(外来神経温存)を造設し,口側,肛側結腸運動を記録した. 【結果】 1食餌後,結腸では収縮群と「無運動」が交互に繰り返えした.回腸運動が空腹期相へ転じる時期(20g/kg投与で12.7±0.4h後,10g/kg投与で10.4±0.4h後)に,結腸各部位の「無運動期」が食後期の平均3倍に延長した.収縮群に変化はなかった.「無運動期」の延長開始始時期と回腸運動相転換期との間には高い相関(r=0.96-0.92,p<0.001)がみられた.X線撮影(20g/k食餌)では,摂取物は8-10hで小腸最遠部に到達,12-14hでは小腸から全て排出された.回腸運動はこの直に空腹期相へ転じた. 2人口肛門造設後,口側結腸運動に変化はなかった.肛側結腸では回腸運動相転換期に同期する「無運動期」延長がなくなり.代わりに36.5±2.3min周期で収縮群が規則的に反復した.肛側結腸遠位では僅かな遅延を以て,同周期の収縮群が観察された.これは収縮群の肛側伝搬と考えられた. 【結論】 1食餌投与後から長時間連続して腸管運動を記録した結果,結腸の無運動期延長が結腸運動の空腹期パターンである.この延長には結腸内容の回腸から結腸への移動ではなく,神経・体液性機構が関係していると考えられた. 2人口肛門造設後の肛側結腸運動を分析すると,結腸はいずれの小部分も独自の収縮リズムをもち,その収縮が遠位部位に伝播するか,あるいはその収縮リズムが近傍遠位部位の収縮リズムを支配する機構(relaxation oscillator)が存在することが示唆された.
|