研究概要 |
平成7-9年度にかけてボンベシンの大腸及び小腸に対する作用を雄性Fisher344ラットを用いて検討した. 1.ボンベシン投与によって直腸粘膜のBromodeoxyuridine(BrdU)の取り込みが用量依存性に促進されることが明らかとなった.即ち,ボンベシン3μg/kgでは効果が認められなかったが,10,30μg/kgの用量では対照に比較して有意にBrdUの直腸粘膜への取り込みが増加した. 2.実験大腸炎モデルとして,ラット下行結腸に二連銃式の人工肛門を作成後,空置した肛門側の直腸を4%酢酸に暴露させることにより大腸炎を惹起させた.術後第4病日に直腸を摘出し,大腸炎の程度を病理組織学的に8項目にわたってスコア化し評価した.術直後より術後第4病日まで8時間毎にボンベシンを投与したところ,ボンベシン3μg/kgでは効果が認められなかったが,10,30μg/kgの用量で大腸炎スコアが対照群と比較して有意に減少した.以上よりボンベシンは用量依存性に直腸粘膜の増殖を促進し,実験大腸炎の修復を早めることが示された. 3.上記1と同様な方法でボンベシンの空腸粘膜に対する作用を検討したところ,ボンベシンは3,10,30μg/kgいずれの用量でもBrdUの取り込みを増加させ,この効果は用量依存性であった.またボンベシン3μg/kgの用量では有意な効果を認めなかったが,30μg/kgの用量で空腸の重量,DNA,RNA,タンパク含量を対照に比較して有意に増加させた.以上よりボンベシンは空腸粘膜の増殖を促進することが示された.
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