研究課題/領域番号 |
07671409
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
江上 寛 熊本大, 医学部, 助手 (00264284)
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研究分担者 |
小川 道雄 熊本大学, 医学部, 教授 (30028691)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 膵臓癌 / 肝転移 / 細胞解離因子 / BOP / ハムスター |
研究概要 |
私たちは、N-nitrosobis(2-oxopropyl)amine(BOP)誘導実験膵癌組織から、浸潤性、肝転移率の異なる二つの細胞株、高転移株(PC-1・0)、低転移株(PC-1)を樹立し、高転移株培養上清中に低転移株の細胞コロニーを解離させる因子(癌細胞解離因子:DF)が存在することを見いだし、本因子の精製と膵癌の浸潤、転移機構との関連について解析を進めた。 In vitroにおいてPC-1細胞は常にコロニーを形成して増殖するが、本因子を添加するとPC-1細胞の細胞コロニーは濃度依存的に解離した。Time lapse videoあるいは金コロイド法を用いた細胞運動能計測の結果、PC-1細胞の細胞運動能は本因子添加により著明に増加し、同時にNothern blot analysisを用いて既知のoncogeneの発現変化を検索した結果、PC-1細胞のc-fos oncogeneの発現が一過性に増強した。この変化はPC-1細胞における細胞運動の経時的変化とよく相関し、細胞運動の増強はstaurosporine,cyclic AMP antagonistあるいは c-fos antisense oligonucleotideによって抑制された。また、本因子は細胞外マトリックス分子の内、PC-1細胞のファイブロネクチンに対する細胞接着を選択的に増強させた。さらに、マトリゲルをcoatしたBoyden chamberを用いて細胞浸潤能を検索した結果、本因子添加によりPC-1細胞のマトリゲルに対する細胞浸潤能が有意に増強した。PC-1・0培養上清より分離精製した因子に対する中和抗体(ポリクローナル:マウスIgG)を作製しwestern blotを行った結果、分子量約20万および約10万前後に3本のmajor bandが検出された。これらの結果から高浸潤・転移性の膵癌細胞が産生する本因子の作用が癌の浸潤・転移機構と密接に関連していることが示唆された。
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