研究概要 |
本研究の目的は、現在の標準肺保存術式であるPGE1前投与+Euro-Colli‐ns(EC)またはUniversity of Wisconsin(UW)液による肺摘出時初回灌流におけるカルシウム拮抗薬投与のPGE1に優る有用性を証明することである。Isolatedrat lung perfusion modelを用い、以下の結果を得た。1)通常量のPGE1では、高カリウムによる肺血管収縮を抑制できない。2)カルシウム拮抗薬Nifedipine(10-6M)は高カリウム液による肺血管収縮をほぼ完全に抑制する。この結果を英文論文(Shigeyuki Sasaki,KeishuYasuda,et al.Does PGE1 attenuate potassium-ind‐uced vasoconstriction in initial pulmonary art‐ery flush on lung preservation?)とし、英文誌The Jour‐nal of Heart and Lung Transplantationに投稿した。 次に肺保存モデルを確立する必要があったため、UW液を用いたラット肺保存(0,4,18,24時間保存)を行って肺保存標準モデルを確立し、その結果を英文論文(ShigeyukiSasaki,Keishu Yasuda,et al.A reliable eighteen‐hour rat lung preservation model with a pulsat‐ile perfusion system.)として英文誌The Japanese Journ‐al of Thoracic and Cardiovascular Surgeryに投稿した。この肺保存モデルを用いた研究では、Nifedipine(10-6M)を加えたUW液で初回灌流を行ったラット肺は、保存後の酸素化能、肺コンプライアンスなど対照肺(保存なし)と同様の優れた肺機能を示し、予想通りの結果が得られた。この結果は英文論文(Shigeyuki Sasaki,Keishu Yasuda,et al.Calcium Channel Blocker En‐hances Lung Preservation.)として英文誌The Journal ofHeart and Lung Transplantationに投稿した。投稿英文論文(3編)の内容は「科学研究費補助金研究成果報告書」に記載する予定である。
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