研究概要 |
1,目的 本研究は重症心不全患者への治療として移植心、人工心臓を必要としない長期循環補助手段の開発の一端を担うものである。耐疲労性骨格筋を循環補助手段のパワー源として使用できれば、多くの患者を利することができる。この目標を達成するために、より多くのパワーを耐疲労性骨格筋の外的仕事として取り出すべく、その方法を追及しようとするものである。 2、本年度は、申請時に所有していたメドトロニック社製埋込式刺激装置(Itrel II)3台に加え、メドトロニック社製Cardiomyostimulator(Model SP 1005A)とビオトロニック社製刺激装置Myosを入手した。この新しい2つの刺激装置は、心周期に同期させて骨格筋を刺激することが可能なものである。これら合計5個の刺激装置を成山羊5頭に使用した。当初は耐疲労性獲得後早期に犠牲死させデータを採取するのが適当と考えていたが神経、筋肉変性疾患を扱う内科医の助言にもとづき6-12ヵ月以上経過してから犠牲死させることとした。これは筋肉の変性主に繊維化による変化をみることが将来の臨床応用に大きな意議をもつと思われるからである。 3、平成7年5月19日にブラジル国サンパウロ州立大学ストルフ教授を招いて、耐疲労性骨格筋を使用する、Cardiomyoplastyの公開実験をおこなった。また、平成8年3月末までに岡山大学医学部倫理委員会にCardiomyoplastyの臨床使用許可を申請するべく準備を完了した。本研究はこの臨床使用にさいし技術的な背景となり、また逆に臨床使用により本研究に関する知見を入手することが可能となる。 4、平成8年度と、9年度で、実験頭数を増やしながらデータ採取を行っていく予定である。
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