研究概要 |
(目的)VitaminCとVitaminEのリン酸ジエステルで、Hydroxy radical scavengerとしての強い作用を有するとされているEPC-K1の心筋保護効果について検討した。 (方法)Isolated warking rat heart modelを用いた。実験1として非虚血心に対するEPC-K1の効果を調べた。EPC-K1を(0,0.25,0.5,1.0,2.0,5.0μg/ml)加えた灌流液にて灌流を行った。大動脈流量(AF)、冠灌流量(CF)、大動脈圧(AP)、心拍数(HR)を測定しを検討した。また、冠灌流中のCK遊出量を測定した。実験2として虚血心に対するEPC-K1の効果を調べた。37度15分間の常温虚血とし、虚血後回復率を評価した。検討項目は実験1と同様ある。 (結果)実験1では、心機能はEPC-K1濃度0.25〜2.0μg/mlでは対照群と有意差はなかったが、CK遊出量は1.0〜2.0μg/mlで有意に増加していた。5.0μg/mlでは心停止となった。実験2では、EPC-K1濃度0.5、1.0μg/mlにて%AF,CK遊出量に有意な改善が認められた。 (考察)非虚血心に対するEPC-K1投与では対照群と有意差は認められなかったが、虚血心への投与では、EPC-K1濃度0.5、1.0μg/mlにて心機能の有意な改善を認めた。EPC-K1濃度1.0μg/ml以上でCK遊出量が増加した。Hydroxy radical scavengerであるEPC-K1投与は虚血再灌流障害の軽減に有効で、また至適濃度は0.5μg/mlと考えられた。 (今後の研究の展開)1.EPC-K1投与心の細胞内ATP,CP,カルシウムイオン濃度を測定し上記の結果を裏付ける。2.チアノ-ゼ性心筋におけるEPC-K1の心筋保護効果の検討を行う予定である。
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