研究課題/領域番号 |
07671514
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
丸野 元彦 大阪大学, 医学部, 助手 (10263287)
|
研究分担者 |
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
吉峰 俊樹 大阪大学, 医学部, 講師 (00201046)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | グリオーマ / マイクロサテライト座位 / 形質発現 / 染色体異常の蓄積 / 生存期間 / 再発グリオーマ / 発現グリオーマ |
研究概要 |
グリオーマにおける形質発現と染色体異常との具体的関連につき検討した。グリオーマの凍結あるいはパラフィン標本より抽出したDNAに対し第9、10、17および22番染色体上に存在する合計33個のmicrosatellite lociにおけるloss of heterozygosity (LOH)の頻度を求め、これと細胞増殖能の指標であるMIB-1 staining index (MIB-SI)やglial fibrillary acidic protein (GFAP)およびp53蛋白の発現様式、生存期間とを比較検討した。その結果、(1)第9番染色体の異常はいわゆる悪性グリオーマ(退形成星細胞腫ならびに膠芽腫)では50.0%の座位にみられ、第10番染色体の異常は膠芽腫で多く、39.7%の座位にみられた。一方、第17および22番染色体の異常は良性グリオーマ(星細胞腫)でも比較的多くみられ、それぞれ9.5%、20.0%の座位にみられた。(2)膠芽腫では第22番染色体上に位置するD22S300 (q12.1-13.1)において80.0%の例に異常が認められた。(3)グリオーマの悪性変化と関係が深い第10染色体の染色体異常を同一症例での初発時と再発時の標本で比較した結果、再発にともない異常座位数が増加した。とくに、初発時に退形成星細胞腫で再発時には神経膠芽腫と悪性変化した例のほとんどで10q22-25の領域に集中して新たなLOHが認められ、この領域の異常が神経膠腫の最悪性変化と関連する可能性が示された。(4)第17あるいは22番染色体に多くのLOH(>33%LOH/informative loci)がみられる例では検索した他の3つの染色体でもLOHが多くみられた(R=0.601 ; p<0.01 ; Stepwise regression)。(5)GFAP遺伝子の位置する第17番染色体長腕(17q21)に存在する6個のmicrosatellite lociを検討したところ、D17S795のLOHの有無のみが腫瘍のGFAP発現と関連しており(p<0.01)、この領域にGFAP発現調節遺伝子の存在することが示唆された。(6)第10染色体にLOHを有する退形成星細胞腫例は、より短期間に悪性変化して再発する可能性が高いことが示唆された。(7)しかしながら、膠芽腫の各症例間では検索したすべての染色体におけるLOHの多寡とMIB-SIあるいはp53蛋白発現様式との間に明らかな関連はみられなかった。
|