研究課題/領域番号 |
07671539
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
屋田 修 順天堂大学, 医学部, 講師 (30265996)
|
研究分担者 |
中西 肇 順天堂大学, 医学部, 講師 (90227843)
新井 一 順天堂大学, 医学部, 助教授 (70167229)
足立 圭司 順天堂大学, 医学部, 助手 (10212515)
武田 信昭 順天堂大学, 医学部, 講師 (00171645)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1997
|
研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1996年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1995年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 脳内移植 / 神経伝達物質欠損症 / PC12細胞 / オンコジン / ラット |
研究概要 |
目的 近年パーキンソン病などの神経伝達物質欠損症に対し、種々の神経組織を患者の脳に移植する実験治療が試みられた。もし神経伝達物質を産生するとともに移植も可能な神経細胞様の細胞株を確立出来れば、治療に有効となる。本研究では、ラット褐色細胞腫の細胞株PC12にKirsten-ras oncogene (以下K-ras)を導入することにより神経細胞様に分化させ、これを脳内に移植してその特性を検討した。 方法 ウイルス感染によりK-rasを導入し神経細胞様に分化させたPC12細胞(以下ras)を成熟ラットの脳の一側に、また、未処置のPC12細胞(以下naive)をその対側に同時移植した。移植後の観察期間を8週間として、両移植細胞群の生着度、形態、生着細胞における神経伝達物質の酵素活性を経時的に比較した。 結果 1) rasは8週に渡り生着し続けたが、対側の脳に移植したnaiveの細胞群は、この間、徐々に死滅・消失した。2) naiveの移植では、移植部位に出血に起因した大きな空洞が一過性に生じたが、rasの移植では一部に小さな空洞をみるに留まった。3)生着した移植細胞群の占有面積を移植後2週及び4週で検討すると、rasがnaiveより統計的に優位に大きい占有面積をみた(2週:P<0.05, 4週:P<0.02)。4) rasの移植細胞群はtyrosine hydroxylase (TH)およびcholine acetyltransferase (ChAT)の両者が染色されたが、特に、後者では移植細胞群内で伸展するneuritesにその局在を見たこれに対しnaiveではTHやChATが染色されるneurotesは観察されなかった。5)電顕の検索ではras、naiveともに移植後2週間の時点でchromaffin granuleを細胞質内に包含していた。 考察 1)成熟ラットの脳内にrasを移植すると、その細胞は突起伸展能、ドパミンアやセチルコロンなどの神経伝達物質の合成能を保持しつつ生着した。一方、2) naiveは移植後早期に出血に起因した空洞を形成し、移植後の時間経過とともに漸次死滅消滅した。 結論 PC12にK-rasを導入することにより神経細胞様に形質転換したPC12は、成熟ラットの脳実質内で、神経細胞としての性質を保持しつつ生着した。
|