研究概要 |
1.高肺転移系ラット骨肉腫S-SLMの移植:S-SLMは肺転移巣を無菌的に採取し,以下のように5群各群10匹で,計50匹のFisher系雄性ラットの背部に皮下移植した. 2.ヘマトポルフィリン(以下Hp)結合マイトマイシンC(以下MMC)の作成:両者のconjugateは,脱水剤と4-dimethylaminopyridinの存在下で暗所で脱水縮合させ作成した. 適正濃度の設定実験 ・Control群:基剤(DMSO)のみ投与 ・MMC低量群:MMC8.97×10-8molを単回投与 ・Hp-MMC低量群:MMC濃度で8.97×10-8mol ・MMC群:MMC8.97×10-7molを単回投与 ・Hp-MMC群:MMC濃度で8.97×10-7mol 4.結果 (1)生存期間:MMC低量群で生存率が90%と最も良好であった.Hp-MMC群は約70%,MMC群は肺出血が強く,生存率は20%であった.Hp-MMC低量群では生存率は約50%であった. (2)肺転移数:MMC低量群が平均で35個であり,Hp-MMC群の80個,Hp-MMC低量群の120個に比較し少なかった.MMC群では35個であったが,肺出血が広範に認められた. (3)転移巣内壊死面積比:MMC低量群が55%であり,Hp-MMC群とHp-MMC低量群の12%,Control群の9%に比較し良好であった. 5.結論:Hp-MMC結合体はMMC単独投与よりも,むしろ抗腫瘍効果は低かった.しかし同濃度での副作用は少なく,使用法により応用可能な新しいdrug delivery systemと考えられた.
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