研究概要 |
膝であった.fast SE法プロトン密度強調(GE社Signa advantage 1.5T)で膝伸展位は前額断・矢状断,屈曲位は矢状断を撮像した.ACLのMRI patternより,タイプ1-ACL幅の1/4以上の太い低信号帯を全長あるいは部分的に一本ないし複数本認める,タイプ2-細い低信号帯を全長あるいは部分的に一本ないし複数本認める,タイプ3-低信号帯は認めないが中等度〜高信号の縞状像を認める,タイプ4-縞状像を認めず全体に中等度〜高信号のぼやけた像を呈する,の4つに分類した.さらに脛骨に対するACLの立ち上がり角度を計測した.タイプ1・2は50歳未満の年齢層に多かったのに対し(各々35〜45%),タイプ4は高齢者に多かった(50%). ACLの立ち上がり角度は平均47度で,タイプ1から4へと進むほど減少した.また屈曲位では約80%で信号強度の低下を認め,立ち上がり角度も平均38度と減少した.ACLは加齢によりタイプ4に移行し,またACLの弛みもともなってくる可能性が示唆された.半月については加齢にともない半月内高信号の頻度が増加したが,半月内高信号を呈する半月の組織学的所見(人口膝関節置換術で得られた半月標本)では膠原繊維の乱れや変性所見があり,これらの変化による半月内水分含有量の増加が半月MR像に影響することが示唆された.また内外側半月を前角・体部・後角に分けて検討した場合,内側半月後角は最も高信号出現頻度が高く,加齢の影響を受けやすい部位と考えられた.屈曲にともなう半月内部の信号変化はみられなかった.
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