研究概要 |
正常関節滑膜および実験的関節炎での滑膜におけるリンパ管分布と関節液貯留・排導機序 平成7年度に報告した,ヒト(慢性関節リウマチ,変形性膝関節症)およびニホンザルの関節滑膜のリンパ管,血管の分布(International Orthopaedics,Vol.19,396-402)をふまえ,動物モデルとして正常膝関節(ラット)関節内にlatex,fluoresbriteをトレーサーとして注入し,経時的に走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡を駆使し観察した.その結果,関節内に注入された粒子は関節内で好中球およびマクロファージに貪食されること,マクロファージによって滑膜内に運ばれ肉芽組織の一部となること,さらに粒子の一部はマクロファージにより滑膜の5^l-nucleotidase陽性のリンパ管を経由し所属リンパ節へ運ばれることなどが明らかとなった.これらの結果はJournal of Orthopaedic Surgery誌(Vol.2,1997,in press)にて報告した. 実験的関節炎(ラットコラーゲン関節炎)においても同様の実験を行った.その結果,滑膜細胞が増殖し滑膜が肥厚し炎症細胞の浸潤した関節においても,粒子はマクロファージに貪食され,滑膜内やリンパ節に運ばれていたが,リンパ節に達するまでの時間は遅延していた.この結果は第20回日本リンパ学会(1996年6月)にて報告した.
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