研究概要 |
生後9か月の成熟豚18頭のL1からL4の椎間板から約4gの髄核を経皮的に摘出し、創外固定によるcompression forceを1か月加えた結果、X線上、12から60、平均28%の椎間板高の狭小化が生じ、変性変化が加速されたと判断した。 内9頭のL1/2椎間板腔に対して髄核摘出後2か月で、-80℃まで緩徐に凍結後解凍した生後1、3、9か月例の豚腰椎間板髄核を各々3gずつ経皮的に再挿入した。残り9頭のL2/3椎間板腔に対しては、屠殺直後に摘出した生後1、3、9か月例の豚腰椎椎間板髄核を各々3gずつ同様に再挿入した。髄核再挿入後1、3、6か月で屠殺し、HE, Toluidin blue, Safranin O, Elastica Von Gieson染色を行い病理学的観察を行った。また一部に対してChondroitinase ABC消化後のpH4.1Toluidin blue染色による挿入髄核の生物学的活性の検討を行った。 髄核細胞数、線維輪の形状変化、軟骨透明帯の染色性などをもとに、椎間板全体の経時的変性の進行を評価すると、髄核の再挿入を行わなかったL3/4椎間板の変性が各小群において最も顕著であった。再挿入髄核の生物学的活性は新鮮髄核再挿入群で高い傾向であったが、椎間板各要素の病理学的変化の程度とは必ずしも相関せず、現時点では凍結、新鮮髄核の優劣について確定できなかった。生後1、3か月例からの髄核再挿入群では9か月例からの髄核再挿入群に比べ、その椎間板変性過程の抑制が示される例が多かった。以上より、通常の加齢変化以上の変性をおこしている椎間板に対する同種椎間板髄核の再挿入はその変性過程を抑制する可能性があることが示された。
|