研究概要 |
侵襲の比較的小さい手術は血中ETおよびCNP濃度に影響を与えなかった。大手術では血中ETおよびCNP濃度は手術中からしだいに上昇した。手術前後における血中ETおよびCNP濃度の変化と手術時間および術中出血量との間に有意の正の相関関係が存在した。大手術である食道切除術において,血中ET濃度は手術終了前後に頂値を示し以後漸減したのに対し,血中CNP濃度は術後7日間に渡って高値を持続した。心臓手術で人工心肺導入後,血圧は著しく低下し,血中CNP濃度は著しく上昇した。血中CET濃度は人工心肺によって変化しなかった。人工心肺中,心臓手術後および敗血症患者において血中CNP濃度は末梢血管抵抗と有意の負の相関関係を示した。ショック患者において血中ETおよびCNP濃度はほぼ平行して著しく上昇した。生存回復した患者では血中濃度が減少したのに対し,死亡した患者では高値を持続した。敗血症性ショック患者では血中CNP濃度が血中ET濃度の上昇度よりも著しかった。イヌにエンドトキシンショックを導入すると血中CNPおよびET濃度は血圧の低下とともに上昇した。血中NOx濃度は肝移植術において肝再灌流後に再灌流前に比べて減少した。血中NOx濃度は食道切除術では手術前後を通じて有意の変化はなかった。摘出灌流心臓からのANP分泌に及ぼすプロスタノイドの影響を検討すると,PGF_<2α>,TxA_2およびPGD_2はANP分泌を上昇させた。高濃度のPGE_2は減少させ,PGI_2は影響を与えなかった。高濃度のAMはANP分泌を減少させた。摘出灌流心臓からのETの基礎分泌を吸入麻酔薬は抑制したが,エンドキシンによるET分泌亢進に対しては吸入麻酔薬は影響を与えなかった。
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