研究課題/領域番号 |
07671661
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
石部 裕一 鳥取大学, 医学部, 助教授 (40122014)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 急性肺障害 / 虚血再潅流 / 一酸化窒素 / リポポリサッカライド / トロンボキサンB_4受容体拮抗薬 / 化学発光量 / 肺傷害 / 肺血管透過性 / エンドトキシン / 虚血再灌流 / ロイコトリエン / 肺血管傷害 / 血管透過係数 / 血管抵抗長軸分布 / 肺循環 |
研究概要 |
急性肺血管傷害(ALI)は、急性炎症性反応の結果、種々のサイトカインの遊離に伴い白血球の活性化を契機として発症することが知られているが、詳細な機序については未だ不明で、その治療法も確立されていない。そこで本研究では、虚血・再潅流(IR)肺傷害の病態を調べるとともに、血管内皮由来の拡張物質である一酸化窒素(NO)吸入の有効性について検討した。家兎の摘出潅流肺標本を作製し、60分間虚血後換気と潅流を再開して、経時的に肺毛細血管濾過係数、肺血管抵抗を測定した。90分後に湿乾肺重量比、肺胞洗浄液の白血球数、MPO活性、窒素酸化物(NOx)、cyclic-GMPを測定し、肺血管傷害の程度を推定した。その結果IRによって肺はIR直後の肺血管抵抗の増大と血管透過性の亢進状態を呈し、30分後には一旦軽快するが60分後には再び増悪し、肺水分量の増加と肺胞洗浄液中の窒素酸化物とcGMPの低下を認めた。再潅流直後からのNO吸入はこれらの変化を抑制し、結果的に肺水分量増加も抑えた。以上の結果からIR肺障害では肺血管内皮傷害に伴いNO-cGMP pathwayが抑制されること、またこれに対して外因性のNO補充は有効に作用することが明らかとなった。 次に家兎のLipopolysaccharide(LPS)静脈内投与によるALIに対して、LTB4受容体拮抗の効果を検討した。その結果LPS投与により投与3時間後の著明な末梢白血球数減少を6時間後に肺胞洗浄液中のMPO活性の上昇、ならびに肺湿乾重量比の増加を認めた。同時にザイモザン刺激の有無に係わらず化学発光量(CL)の増加と補体活性の低下を認め、活性化された白血球による急性肺血管傷害の発現を強く窺わせた。これに対してLTB4の受容体拮抗薬で前処置すると、肺湿乾重量比の増加が抑制された。またザイモザン刺激によるCLは増加しているが、ザイモザン非刺激時のCLは増加していないことから、LTB4受容体拮抗薬は活性白血球の易刺激性は抑制できないが、二次刺激がない限り活性酸素種の発生が抑えられ、肺血管傷害への進展を比較的軽微な状態にとどめる作用があると推測された。
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