研究概要 |
1、一酸化炭素(CO)中毒間歇型モデルの作成:一酸化炭素中毒モデルの作成は、臨床に近い形として単純にラットにCOを吸入させたが、CO-Hb濃度が50%を越えると死亡率が80%以上となった。徐呼吸への移行時に空気呼吸を行わせることで生存率は80%以上に改善したが、その後の摂食状況、行動パターンに異常は見られなかった。これらラットにおけるCO-Hb濃度は、CO吸入直後で平均45.2%、60分後10.3%、180分後1.3%であった。 PaCO2,pH,base excessは、CO吸入直後有意に低下したが60分後には前値に回復。一方、PaO2には有意な変化が見られていない。現在、上記CO吸入を3回繰り返したモデルで摂食低下を観察しているところであるが、間歇型モデルの作成には成功していない。 2、組織学的検討:CO中毒作成1,3,10,24時間,3,7日後にラットの脳を取りだし、凍結浮遊切片を作成。ニッスル染色を行い海馬における神経細胞を観察したが、時間経過においても細胞障害はほとんどみられなかった。 3、免疫組織学的検討:上記CO中毒作成1,3,24時間,7日後の凍結浮遊切片を用い、アビジン-ビオチン法に基づきc-FOS抗体を用いた免疫染色を行ったが、c-FOS蛋白の発色は全くみられていない。 4、早期発現癌遺伝子発現の検討:CO中毒作成直後、1,3,10時間後にラットの脳を取り出し、各部位に分離した後液体窒素にて凍結。この標本からRNAの抽出を行い、ノーザンブロット法を用いて1時間後のサンプルでc-fosmRNAの発現を見た。しかし、今までのところ抽出RNAにむらがあり一定した結果が得られていない。 以上、モデル作成に成功していない状況で先に研究を進めたため、生理学的データ以外の結果が出ていない状況である。新しいモデルを用いて研究を続けているところである。
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