研究概要 |
【目的】頭・頸部の激しい急性帯状疱疹痛に対する星状神経節ブロックと上胸部硬膜外ブロックの疼痛軽減効果を比較した.【対象と方法】疼痛が視覚アナログ目盛(VAS)で30mm以上の頭・頸部急性帯状疱疹痛症例において星状神経節ブロックまたは上胸部硬膜外ブロックを1%メピバカイン6mlで行い,ブロック前,ブロック5,10,15,20,30,45,60分後の疼痛をVAS(0,痛みなし:100,想像できる最悪の痛み)により比較した.【結果】星状神経節ブロックを受けたのは6例,上胸部硬膜外ブロックを受けたのは8例であり,年齢(平均±標準誤差)は星状神経節ブロック群が61.8±3.6歳であり硬膜外ブロック群は54.9±6.0歳であったが,有意の違いではなかった.星状神経節ブロック群,硬膜外ブロック群のVASによる疼痛は,ブロック前(44.7±5.5 vs 43.1±6.6),5分(33.3±5.9 vs 22.8±5.9),10分後(22.8±5.8 vs 19.1±5.1),15分後(21.7±5.8 vs 11.4±4.0),20分後(15.2±4.9 vs 10.4±3.6),20分後(17.8±5.0 vs 10.1±3.6),30分後(15.2±4.9 vs 10.4±3.6),45分後(14.3±4.7 vs 11.5±3.7),60分後(17.3±4.1 vs 11.4±4.7)であり,星状神経節ブロック群および上胸部硬膜外ブロック群で,ブロック前に比べ,ともに有意に低下していた(p<0.05-0.001).星状神経節ブロックに比べ上胸部硬膜外ブロック後のVASは低い値であったが,有意の違いではなかった.【結論】激しい頭・頸部の急性帯状疱疹痛に対して上胸部硬膜外ブロックは星状神経節ブロックと同じように有効であり,持続的なブロックが可能であり,有用であると考えられる.
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