研究概要 |
腎細胞癌(RCC)に対する抗イディオタイプ抗体の有用性について抗イディオタイプ抗体免疫マウス血清(Ab3-82)を用いて、RCCヌードマウスモデルにおける抗腫瘍効果を各種サイトカインおよびMAbG250と比較検討した。まず各種サイトカインの治療至適dose決定のために各サイトカンを1回投与量1000,3000,IUにてPilot studyを行いdoseを200u/g mouseと設定し、本実験に入った。6週齢雄性BALB/c nu/nuマウスの右側腹皮下にNUR-2ヒトRCC小腫瘍片を移植し、腫瘍サイズが約20mm^3時点で10グループにRandomizeし、以下の治療を施した。すなわち、gr.1:control,gr.2:IL-2,gr.3:IFN,gr.4:MCSF,gr.5:MAbG250,gr.6:IL-2/MAbG250,gr.7:IFN/MAbG250,gr.8:MCSF/MAbG250,gr.9:IL-2/IFN,gr.10:IL-2/IFN/MAbG250で、MAbG250は100μg,IL-2,IFN,MCSFは200U/g mouseをmediumに溶かし、peritumor injectionした。各治療は週5回6週間施行し、腫瘍径を測定し、抗腫瘍効果について検討した(実験I)。続いて、同じ実験モデルを用い、gr.1:NMS(正常マウス血清),gr.2:MAbG250/IL-2/IFN,gr.3:Ab3-82,gr.4:Ab3-82/MCSFの4群で治療効果を検討した(実験II)。その結果、実験Iでは、MCSFは抗腫瘍効果を示さず、また、IFN,IL-2,MAbG250,MCSF/MAbG250,Il-2/MAbG250の5群ではcontrolに比し、p<0.05の有意な抗腫瘍効果を認め、Il-2/IFN,IFN/MAbG250,IL-2/IFN/MAbG250の3群ではp<0.01の著明な抗腫瘍効果を認めた。また実験IIでは、IL-2/IFN/MAbG250およびAb3-82治療群は、ほぼ同様の著明な抗腫瘍効果(p<0.01)を認め、Ab3-82/MCSF群ではほぼ全例complete regressionを示し、抗イディオタイプ抗体とMCSFの併用療法が有用であると思われた。治療途中に行った病理組織学的検討ではマウスリンパ球の著明な腫瘍内浸潤を認め、抗イディオタイプ抗体の腫瘍ワクチンとしての有用性が示唆された。
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