研究課題/領域番号 |
07671764
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
荒木 慶彦 山形大学, 医学部, 助手 (70250933)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 卵管 / 糖蛋白質 / In situ hybridization / ハムスター / 性腺ステロイド |
研究概要 |
近年、ヒトを含めた種々の哺乳動物で卵管に特異的に発現し、配偶子を修飾する活性を持つ糖蛋白質の存在が報告されている。この糖蛋白質はその生殖生理学的な真の活性は、間接的には種々の可能性が提唱されているものの、未だ多くの点が不明である。我々は1980年代より、生殖生物学では優れた実験動物であるゴールデンハムスターで卵管特異糖蛋白質を発見し、この物質の生化学・分子生物学的性状・生殖生物学的性状を明らかにしてきた。本研究では同物質のcDNAを用いて、In situ hybridization法を用いた、ハムスター、卵管特異糖蛋白質mRNAの発現の解析を試み、この分子のin vivoに於ける発現動態の解明を試み、現在まで以下の結果を得た。In situ hybridization法では1.卵管膨大部・峡部共にmessageの発現を上皮にに認めたが、膨大部が上皮細胞核周囲部にmessageを認めるのに対し峡部では核下基底膜側にのみ発現を認めた。2.性周期に於いては峡部では発現に有意な差を認めなかったが膨大部ではdiestrous day1に特徴的な発現の減少を認めた。3.messageは生後約14日目より認められ、加齢により血中エストロゲン濃度が低下するに従い有意な発現減少を認めた。4.messageは妊娠中にも強く認められ、また分娩後、血中エストロゲン濃度の急激な低下に伴い減少した。5.卵巣摘出、或いはGnRHアナログの投与により血中エストロゲン・プロゲステロンを低下させた動物では有意な発現の減少を認めた.またこの動物に対し、エストロゲンの補充によりmessageの発現量の回復を確認した。6.霊長類で認められるプロゲステロンによる強力な発現の抑制はハムスターでは認められなかった。以上の結果より同物質の発現は齧歯類に於いてもエストロゲン依存性にコントロールされている事を強く示唆すると思われる。この研究結果は現在我々が作製を試みている卵管特異的糖蛋白質ノックアウトマウスを用いた同物質の生殖生理学的活性の解明のための重要な基礎データであり国際的にも注目されている研究結果である。
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