研究概要 |
ラット卵巣顆粒膜細胞培養系を用いアクチビンがFSH, LH/hCGレセプターmRNAを誘導することを示したが、mRNAの半減期、mRNA合成に対する検討を行う必要があり、同一の培養系を用いて行った。半減期においては、アクチノマイシンDを作用させmRNA合成を抑制し、経時的にmRNAの減少率を計測した。アクチビンはFSHレセプターmRNAの半減期を延長したが、cAMPによってはこの半減期を延長は観察されなかった。 合成に関しては、培養細胞より核を抽出し、^<32>Pラベルの塩基と共にインキュベーションし新たに合成されたmRNAの測定(run on assay)を行った。run on assayの結果から、アクチビン、cAMP共にFSHレセプターの転写のレベルで促進的に働いている事が明らかになった。cAMPは細胞に添加後2時間で最高でコントロールの1.5倍となり、アクチビンは、添加後6時間でコントロールの3倍まで上昇した。この結果は、アクチビン、cAMP共にFSHレセプターmRNAの上昇を促進するが、アクチビンの作用は、転写, mRNAの安定性の両方に作用して、強力な効果を示すことが判明した。 我々はヒトFSHレセプターcDNAを発現ベクターに入れてCHO細胞に導入した細胞を確立したので、この細胞にフュラII処理しFSH投与で細胞内カルシウムの変動を測定した。FSH添加後非常に速やかに細胞内カルシウムの上昇が観察された。FSHは、その作用をcAMPにより伝達されていると考えられていたが、同時に細胞内のカルシウムを介しての情報伝達の経路を持つ事が示された。
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