研究概要 |
沖縄県女性のHPV陽性率を知ることを目的とし、子宮がん検診受診者および外来受診者について、その細胞診用検体採取時に、別に採取した擦過細胞のHPVを検索した。HPV DNAの検出には、L1 consensus primerを用いてRCR法を行った。 1.子宮がん検診受診者のHPV陽性率 受診者2,887例について、そのHPV陽性率は、全体として11.9%(343/2,887例)であった。細胞診Class別では、Class Iで8.7%(108/1,218例)、Class IIで10.0%(166/1,655例)、Class IIIで71.9%(23/32例)、Class IV+Vで88.5%(46/52例)であった。即ち、健常者と判断されるClass I+IIでの9.5%(274/2,873例)は、本土におけるよりやや高率であった。HPV型については、16,18,31,33,35,58以外の型が多かった。 2.年齢別のHPV陽性率 年齢別のHPV陽性率を知ることを目的とし、上記の症例数をさらに増やすとともに、10才代、20才代の外来受診者についても検討した。 現時点として、計3,985例(除 細胞診Class III以上)について年代別に検討してみると、30才以下:18.7%(45/241),31〜40才:8.0%(47/587),41〜50才:9.3%(76/817),51〜60才:10.0%(106/1,059),61〜70才:10.2%(104/1,018),71才以上:9.8%(26/263)。HPV陽性率は30才以下では18.7%と高く、31才以上では8-10.2%と低下の傾向が窺われる。年齢別のHPV陽性率を明らかにすることは、HPV感染の自然史を考察する上に重要な情報となる。欧米でも30-35才以上になると陽性率は低下するとの報告があり、今後はさらに10代、20代の例数をふやして検討する必要がある。
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