研究課題/領域番号 |
07671868
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
一宮 一成 大分医科大学, 医学部, 講師 (70223112)
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研究分担者 |
鈴木 正志 大分医科大学, 医学部, 助教授 (60211314)
茂木 五郎 大分医科大学, 医学部, 教授 (20035190)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1997年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1996年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 内リンパ水腫 / ラセン靭帯 / 内リンパ嚢 / keyhole limpet hemocyanin / 免疫組織化学 / connexin 26 / 線維細胞 / 細胞外マトリックス / vimentin / S-100 / connexin26 / proteoglycan / collagen / ラセン靱帯 / Na,K-ATPase / gap junction / fibrinogen / keyhole lympet hemocyanin / 肺炎球菌 / 免疫傷害 / 血液-内耳関門 / 血管条 / Na^+,K^+-ATPase / ギャップ・ジャンクション / エンドトキシン / ABR |
研究概要 |
1)蛋白抗原であるkeyhole limpet hemocyanin(KLH)で全身免疫を行ったモルモット蝸牛鼓室階に同抗原を注入し内耳炎を作成した後、経時的に断頭し免疫組織学的に内耳の観察を行った。抗原注入後の内耳に内リンパ水腫を認めた動物はほとんどなかったが、IgGやalbuminがラセン靭帯やラセン唇、spiral modiolar veinに染色された。またラセン靭帯ではNa,K-ATPaseやgap junction proteinのconnexin26の染色性が低下していた。 2)肺炎球菌をマウスの中耳腔内に注入後、経時的に断頭し観察を行ったが、通常のHE染色では内リンパ水腫などの明らかな変化を内耳に認めなかった。しかし、免疫組織学的にはラセン靭帯、ラセン唇にfibrinogenの染色を認め、さらにラセン靭帯にfibrinogenが著明に染色された動物ではconnexin26の染色性が同部位において低下していた。 3)モルモットの内リンパ管を閉塞後、経時的に断頭し免疫染色を行った。染色強度を画像解析装置を用いて測定し定量的に解析した結果、vimentinおよびconnexin26はラセン靭帯のI型線維細胞において染色性が低下する一方、細胞外マトリックスに染色されるchondroitin 4-sulfate proteoglycanやII型collagenは内リンパ水腫耳のラセン靭帯に染色性の差を認めなかった。 以上の実験結果より、ラセン靭帯線維細胞の変化は内リンパ水腫の成因とはならないが、外リンパ、内リンパの調節に影響を及ぼすことによって蝸牛に機能障害をもたらしうると考えた。また中耳や内耳の炎症に伴い、ラセン靭帯では血液-蝸牛関門の破綻や線維細胞の傷害が起こりうることが示された。ラセン靭帯線維細胞の傷害は内耳の様々な病態にみられることが推察されたが、一方ラセン靭帯の細胞外マトリックスは線維細胞に伴った変化を認めないことも示された。このことは通常の組織学的手法ではラセン靭帯の傷害が発見されにくいことを意味しており、ヒト側頭骨病理組織を用いてメニエル病等の病態を解明する際には、細胞外マトリックスの間に存在する線維細胞に焦点をあててラセン靭帯を観察する必要があるのではないかと考えた。
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