研究概要 |
現在までに下記のごとくの結果を得た。 1.ヒト(成人、新生児)、ネコ、イヌ、家兎、ラット、モルモットの喉頭内神経節の分布について検討し、主な喉頭内神経節は、声門レベルのparaglottic spaceに、また下喉頭神経が喉頭内に入る部位に存在し、これら哺乳動物では、ほぼ同様の傾向を示した。 2.免疫組織学的に、これらの細胞は主にVIP陽性の細胞が多く、次いでChAT陽性細胞も認められた。またTH, NPY陽性細胞も少数であるが認められた。これらは、いわゆる副交感神経系の節後神経節に類似していたが、WGA-HRP, HRPを用いた投射実験で、感覚神経、交感神経系からの投射を受けていることも解った。 3.これら神経節細胞の一部は、その軸索を喉頭腺へ出していることも確認できた。喉頭腺には免疫組織学的に多くのVIP陽性線維を、またTH, NPY陽性線維も認めた。これらの線維は、電顕を用いた検索で、VIP陽性線維は、喉頭腺腺房の基底膜を貫いて腺房細胞,筋上皮細胞に直接接し,また腺房細胞間を管腔側近傍まで進入する所見を認めた。一方、TH, NPY陽性線維は、基底膜に近接はするが、貫くことはなく筋上皮細胞に近接して終止する所見を認めた。 以上のことから、喉頭腺は、喉頭内に存在する神経節を経由して副交感神経系の支配を主に受けているが、分泌に関しては、交感神経も関与していることが推察され、これらの調節に末梢レベルで知覚系入力が何らかの係わりを与えていることが推測された。
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