研究概要 |
綱膜S抗原感作ルイスラットのぶどう膜炎初期に見られる変化は脈絡膜への単核細胞の浸潤で,次いで視細胞外粒層へ数個の細胞浸潤が起こるのが組織切片上で見られる.視細胞層への浸潤細胞は,マクロファージと好中球が主で,リンパ球は極めて稀にしか見られなかった.1〜2個の浸潤細胞の周囲では,視細胞核である外顆粒層が融解するがごとくに消失する. 炎症初期のblood-barrierの破綻をペルオキシダーゼをトレーサーとして検討したが,色素上皮と網膜血管でほぼ同時にトレーサーが漏出することが判明した. S抗原,IRBP,Phosducinのエピトープ部を再検討し,Phosducinで複数の起炎性ペプチドを合成でき,ぶどう膜炎の惹起に成功した. in vitro実験では,網膜全体の器官培養組織にたいし,抗体処理の有無に分けて,リンパ球,好中球を添加し4時間後の組織をエポン包埋して検討したが,予測したような典型的なantibody-dependent-cellular-cytotoxicity(ADCC)の像を得るに至っていない,抗体との反応時間や添加細胞との反応時間,培地の変更などの工夫を要するものと思われる.以上の方法でADCCが起こらない場合には,網膜細胞を酵素処理して単離視細胞での反応を試みる必要がある.
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