研究概要 |
部分精製BMP300μgと骨由来I型アテロコラーゲン10mgを複合化してウィスター系ラット(4週齢,6か月,1年)の背部皮下内に埋植後以下の結果を得た。 4週齢ラットにおけるBMP群:埋植後1週では、細胞侵入部と細胞未侵入部の2層構造がみられた。未分化間葉細胞が担体であるコラーゲン線維間を周囲から内部に向かって侵入し散在性に軟骨様細胞への分化を認めた。軟骨様細胞にはオステオポンチン(OPN)mRNAのシグナルが検出された。中央部にはほとんど細胞侵入がみられず担体コラーゲン線維が存在していた。2週では、外側から中央に向かって数層の線維性被膜,骨様組織,軟骨様組織,空洞といった4層構造が認められた。軟骨様細胞,骨芽細胞,骨細胞にOPNmRNAのシグナルの増強が認められた。中央部には断片化されたコラーゲンと液を含む空洞を認めた。3週では外側から線維性被膜,皮質骨様の厚い層板状骨,海綿骨様の梁状骨といった3層構造を呈し骨髄組織も認められた。OPNmRNAのシグナルは減弱した。コラーゲン担体自体は再石灰化を示した後、線維骨の基質としての役割を果たした後吸収された。なお、本実験で形成される骨空洞内に歯胚を埋入し歯胚の成長を観察することに成功した。 6ヵ月齢ラットBMP群:1週後に骨芽細胞が出現し、OPNmRNAのシグナルが認められ経時的にシグナルの増強が認められた。明らかな軟骨様細胞を認めなかった。1年齢ラットBMP群:硬組織形成細胞への分化はほとんど認められなかった。 以上より、加齢に伴いBMPによる硬組織誘導量の減少が明らかとなり、その原因としてBMP反応細胞の減少と反応細胞の増殖能,分化能の低下が考えられた。また、加齢に伴い骨誘導過程に本質的な相違がある可能性が示唆された。
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