研究概要 |
1、まず、S.mutansの酸排出にたいする反応系中のナトリウムとカリウムイオンの影響を検討したところ、ナトリウムイオンは酸の排出を阻害し、カリウムイオンは逆に促進することを見出し、学会(国際歯科医学会、シンガポール、1995)および論文(11.研究発表 参照)で報告した。 2、ナトリウムイオンは菌体内での酸産生反応のうちフルクトース-1,6-ビスリン酸が3-ホスホグリセリン酸に変化する段階を阻害することを明らかにし、学会(歯科基礎医学会、東京、1995;国際歯科医学会、サンフランシスコ、1996)および論文(11.研究発表 参照)で報告した。 3、S.mutansの培養pHを変化させたときの酸(水素イオン)排出を検討した。酸性で培養した菌では中性培養菌に比べて添加した糖の代謝終了後の菌体外へ排出された水素イオン量、カルボン酸量共に高く、代謝中の菌体内pHも高かった。このことから酸性培養菌では酸の排出が高まるものと考えられた。さらに、添加した糖の量以上のカルボン酸が排出されたことから酸性培養菌が貯蔵多糖などを蓄積した可能性が考えられた。(Intracellular pH,proton excretion and H^+-ATPase activity in cells of S.mutans NCTC 10449 grown under different pH conditions.投稿準備中) 4、歯垢深層のような高度嫌気条件でS.mutansの酸産生に対するフッ素による阻害を測定すると、今まで報告されてきた濃度の1/10から1/20の低濃度のフッ素でも阻害することを見出し、論文で報告した。(11.研究発表 参照) 5、高度嫌気条件で低濃度のクロルヘキシジン(0.025mM)とフッ素(0.4 mM)を同時に添加すると、S.mutansの酸産生は中性でも酸性でも阻害されることを見出した。(Combined effect of chlorhexidine and fluoride on proton excretion and intracellular pH in glycolysing streptococcal cells under different pH conditions.投稿準備中)
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