研究概要 |
歯科専用薬剤に多く配合され,アレルギー発症が懸念されるユ-ジノールについて以下の研究を行った。 1.アレルギー発症の有無とタイプの確認:モルモットにadjuvant and patch testを行い,実際の使用濃度でのアレルギー発症が確認された.また,マウスを用いてのear swelling methodにより,このアレルギーはIV型アレルギーに分類される遅延型過敏症であることが明らかとなった. 2.各種T細胞の役割の検討:マウスにear swelling methodを行い,IV型アレルギーを発症させ,鼠径部リンパ節と発症部位である耳の凍結切片を作成し,ヘルパーT細胞(Th細胞)系のThy-1,Ia,CD4陽性細胞などの免疫担当細胞,サイトカイン(IL-2,IL4)の動態を,各種モノクローナル抗体を用いて免疫組織化学的に検討した.さらに,Th1細胞,Th2細胞,サブレッサーT細胞,キラーT細胞の動態を同様に検討した結果,ユ-ジノールによるIV型アレルギーの発症には,Th細胞,特にTh1細胞が深く関与していることが判明し,また,発症部位においては,キラーT細胞も関与していることが示唆された. 3.Costimulatory分子B7-1,B7-2の役割の検討:B7-1,B7-2の動態を抗B7-1,B7-2のモノクローナル抗体を用いて,2.と同様の方法で検討した結果,IV型アレルギー反応の初期にはB7-2が,遅い時期にはB7-1がcostiulatory分子として作用していることが判明し,B7-1とB7-2の役割の違いが明確になった. 4.T細胞の役割のin vivoでの検討:マウスの足蹠にユ-ジノール感作T細胞を投与する,foot-pad testを行い,IV型アレルギー発症にはユ-ジノール感作T細胞が必須であることをin vivoで証明し,2.で,すなわち,in vitroで示されたT細胞のIV型アレルギーにおける役割が明確となった.
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