研究概要 |
モルモット皮膚にツベルクリン型の遅延型過敏症を誘導した後,ムラミルジペプチド(MDP)ないし内毒素性リポ多糖(LPS)を反対側側腹部皮下に注射すると,遅延型皮膚反応部位に出血・壊死を伴う組織破壊が惹起される(Nagao et al.,FEMS Immunol.Med.Microbiol.,11:231-246,1995;Nagao et al.,Microbiol.Immunol.,39:1011-1014,1995).そこで,モルモットを歯周病関連細菌の適当な抗原で感作して遅延型過敏症を誘導し,これに同一細菌の菌体成分で出血・壊死反応を惹起する事ができれば,aggressive periodontal diseasesの動物実験モデルになるのではないかと考えて,標記実験を計画した.まず,Prevotella intermedia ATCC 25611の凍結乾燥菌体(1mg)をフロイント不完全アジュバンド(FIA)に混じてモルモットの足蹠に免疫し,1ケ月後にP.intermedia超音波破砕遠心上清を皮内注射すると,強い発赤を伴う皮膚反応が起こった.翌日MDP(500μg)を反対側に皮下注射したところ,足蹠の反応が再燃し出血・壊死が認められ,さらに皮膚反応部位でも出血・壊死が認められた.但し,MDPを投与しない対照動物でも軽い出血・壊死が見られた.次に,同様に免疫した動物に55kDaの精製表層蛋白(infect.Immun.,62:2459-2469,1994)で皮膚反応を試みたところ,それだけで出血・壊死反応が起こったため,MDP等による惹起反応は検討できなかった.現在,小川知彦博士(阪大歯学部)より恵与を受けたPorphyromonas gingivalisの精製線毛を抗原として,P.gingivalis全菌免疫モルモットで,皮膚の出血・壊死反応惹起の検討を進めている.今後,適当な実験条件が確立できれば,各種サイトカインや接着分子の係わり等についても検討したいと考えている.
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