研究概要 |
本研究において,歯周炎のActive phaseにおけるポケット内細菌の変化について調べた。 まず,Active phaseの1つと考えられる歯周炎急性症状の細菌学的特徴を明らかにするために,歯周炎急性症状を示す患者と示さない患者の,深い歯周ポケットの細菌叢を細菌培養法によって比較したところ,Porphyromonas gingivalisおよびBacteroides forsythusの総菌数に対して占める割合が,歯周炎急性症状を示す患者の方が有意に高いという結果になったことから,歯周炎の急性症状において,これらの菌が重要な役割を演じていると思われた。同時に,この2菌種をモニターすることがActive phaseの診断に重要であると思われた。 これら2菌種をモニターするために,臨床ではより簡便で迅速な細菌検査法が求められるが,非放射性DNAプローブ法(Affiem DP^<TM>)を用いて細菌培養法と検出の比較を行ったところ,P.gingivalisおよびB.forsythusに関して非放射性DNAプローブ法が感度,特異性共に優れていたことから,Active phaseの細菌学診断への応用が期待できる。 塩酸ミノサイクリンによる歯周ポケット内細菌に対する感受性に関して,P.gingivalisおよびA.actinomycetemcomitansに対する感受性の低下は認められなかった。また,抗生剤の局所投与法の効果に関して,歯周炎急性症状を示す部位への塩酸ミノサイクリンの局所投与(ペリオクリン【○!R】1回で,臨床的に有意な改善がみられ,P.gingivalisおよびB.forsythusの割合の有意な減少がみられた。また,投与回数としては,1回投与で有効であると考えられた。また,投与終了後4週目で細菌叢の後戻りを示す症例があったことから,抗生剤の局所投与によって症状が改善した時点で,さらにスケーリングやルートプレーニングなどの根面清掃を行った方がよいと思われた。
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