研究概要 |
平成8年度は,すでに申請者らが開発していた下顎運動記録装置の精度の改善と被験者について睡眠中の下顎運動の記録を行った。下顎運動記録装置は咬頭嵌合位から偏心位に移動するにともない実際の位置とのずれが大きかったことを改善し,さらに左右の咬筋,側頭筋の筋電図を比較的被験者の動きを妨げないテレメーター方式(現有機器および購入器機)によりデータを採取することが可能になった。 データの採取は有意識下での咀嚼運動時と睡眠中の下顎運動について行い,筋活動の出現パターンと下顎運動方向の関係について分析を行った。分析方法は,下顎運動の前後左右2方向のそれぞれの運動と4筋の筋活動出現パターンを記録紙上で比較して行った。 その結果,以下の所見が得られた。 1.下顎が偏心位にあり,クレンチング様の筋活動を示すものが観察された。 2.クレンチング様の筋活動で,それぞれの筋活動が不揃いのものが観察された。 3.グラインディング様の下顎運動に示すにもかかわらず,クレンチング様の筋活動を示すものが観察された。 4.グラインディング様の下顎運動時に,平衡側に強い筋活動があるものが観察された。本結果は、第40回春季日本歯周病学会で発表を行う。 現在,平成7年度で開発した動揺度測定法を用いて,就寝前と起床時での歯の動揺度の変化を記録し,ブラキシズムにより出現した下顎運動との関係について調査中である。
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